建築に関わる儀式について

家を建てる際に、工事の着工前には地鎮祭や安全祈願祭、また建物の骨組みが組み上がると上棟式、完成すると竣工式などもあります。それぞれに理由があるのですが、皆様はどのように理解しておられるでしょうか。 仕来りだからとは言うものの、元々の意味を考えてみたいと思います。

◆地鎮祭

まずは「地鎮祭」です。「地」を「鎮める」と書きますが、通常、神社やお寺にお願いしてお払いに来ていただきます。これは、そこに縁のある霊の皆さんに、「お鎮まり下さい」と言う儀式です。
古くから、その近くに祀られていた霊や、その土地に縁があって、まだ成仏できていない霊を、静かにさせたり追い払ったりするものです。

地鎮祭イラスト1
 

その地域を守っている霊の場合は「今から始める工事はあなたを粗末に扱うためのものではありません」「あなたが守っておられるこの地域に、これからお世話になります」「地域の皆様と仲良くして参りたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします」といって、ご挨拶をするようなものです。この場合、礼を失することがなければあまり心配しなくても良いかとは思います。

地鎮祭イラスト2
 

その他にも、その土地に古くから縁のある霊が、供養する人もなく、漂っている場合もありますので、そのような不成仏の霊にとっては、神仏の威光をもって、自らが迷っていることに気づかせ、あの世に導く必要があります。こういった霊を、鎮めるという面も「地鎮祭」にはあります。
「地鎮祭」は、これから住む方にとっての、安心と安全を祈る儀式と言えます。
こちらの奉納は施主が負担します。

地鎮祭イラスト3
 
 

◆安全祈願祭

「安全祈願祭」は「地鎮祭」と同時に行われることも有りますが、こちらは主に施工に関わる人達が中心の祈願です。「心を正し、体調を整え、気を引き締めて、仕事に当たらせていただきます。」「どうか事故やケガがなく、また仕事のミスもなく、神仏のご加護のもと、順調に現場が進みますように」という祈願です。

安全祈願祭イラスト1
 

神仏のご加護を願うのですから、こちらにも当然、霊的な意味も含まれています。土地にかかわる霊だけでなく、働く人それぞれに関係してきます。

体調が悪い時や、悩みを抱えたままだと、その気持ちが、良くないエネルギーを引き寄せて、仕事でのミスや、事故の引き金になってしまう事があるのです。そうならないために、神仏のご加護を願い、自分自身の精進と努力を誓うのが「安全祈願祭」です。
こちらの奉納は施工者が負担します。

安全祈願祭イラスト2
 
 

◆上棟式

建物の骨組みが組み上がり、屋根に板が張られたところで行われます。「棟上げ」とか「建前」とか呼ぶこともありますが、通常は、大工の棟梁が神主の代わりに屋根の上に登って神事を行います。無事に棟が上がったことを、神仏に感謝しお祝いする儀式です。
それと同時に、神事の後に、お餅やお菓子、小銭を撒いたりする「餅投げ」があります。神仏へのお供えの意味も込めて、これからお世話になるご近所の皆様や知人に、幸せのおすそ分けをする風習です。熊本では「ひとぎ」とか「しとぎ」とか呼びますが、もともとは「お餅」という意味のようです。

上棟式イラスト1
 

「ひとぎ」は、最近は省略することも多いのですが、自分だけが幸せだと、周りから羨ましく思われますし、妬んでしまう方もあるかもしれません。それを和らげるために幸福を分け合うという、昔の人の知恵でもあるようです。
昔はそのあと現場で、職人さんたちを接待し、お祝いの宴をすることもありましたが、最近では飲酒運転の危険もありますし、簡素化したり、省略したりする方も増えています。

上棟式イラスト2
 
 

◆竣工式・新築祝い

大きな施設などでは、関係者一同が集まって、神仏に無事に竣工したことを感謝し、お祝いとお披露目をしたりします。
個人住宅の場合は、大袈裟にすることも無いのですが、新築祝いの形で、知人友人をお招きして家を見て頂き、そのあと料理屋などで、施工関係者も一緒に宴会をしたりします。また最近は、お祝い返しなどをお配りして、新築祝いに変える場合も多いようです。

竣工式イラスト1
 

地鎮祭をお願いした神社やお寺については、神仏にお願いのしっ放しでも申し訳ありませんので、折を見て、お礼の参拝に行くのも良いかと思います。

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